いつか晴れた日に
だからといって、亜紀との仲も元通りなるかと言えばわからない。
それでも、少しずつ蟠りが無くなっていけばいいと思う。

潤んだ目元を指で拭うと、亜紀はデスクの引き出しからチョコを取り出して、あたしに向かって放り投げた。

「それ、あげる」

「あ、ありがと」

「あたしも定時で帰りたいし。早く片付けよ?」

「うん」

何度も頷いて、チョコを口に放り込んだ。

「美味しい」

上品な味のミルクチョコレートが口の中で溶けていく。優しい味わいに、また涙がじわりと滲んでくる。

「泣くほど美味しいなら、全部あげる」

「……太っちゃうよ」と泣き笑いになるわたしに、亜紀は「そういう作戦なの」と声を出して笑った。

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