いつか晴れた日に
『妹みたい』と言われて、ホッとしたような、がっかりしたような、妙な気持ちになってしまった。

「安西さん?」

池永さんに名前を呼ばれて、ハッとする。
少しの間、立ち止まってぼんやりしていたみたい。

「どうかした?」

そう言って、池永さんがわたしの方に歩み寄る。

「いえ、なんでもありません」

わたしの顔を心配そうに覗き込む池永さんに、ドキドキしながら俯いた。


結局、池永さんに部屋の前まで送ってもらった。

「今日は、本当にありがとうございました。ご馳走にもなってしまって」

頭を下げると、「こちらこそ、安西さんとお酒が飲めて、楽しかったよ。また誘ってもいい?
もちろん、迷惑じゃなかったらだけど」
そう言って、優しく微笑む池永さん。

「迷惑なんて!」

そんなこと、あるはずがない。
けれど、これ以上親しくなってもいいのだろうか?と不安にもなってしまう。

池永さんは『妹みたい』と言ってくれたけど、そんな曖昧な関係のままでいられるの?


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