いつか晴れた日に
翌日、落ち着かない気持ちで出社すると、真っ先に池永さんの姿を探した。

給湯室かどこかでこっそり話が出来るなら、もう一度お礼を言って、それから……

確認というか、池永さんがどういうつもりだったのか探りたい。

そうじゃないとずっとモヤモヤして、気持ちのやりように困ってしまうから。
訊けば「何でもないよ」と笑われるとは思うけど……。

でも、この日の池永さんの予定は、直行直帰になっていて。

そして、明日からは二日間の出張と記されていた。


「しばらく、目の保養は無しかぁ」

ボソッと呟いた亜紀の声にハッとする。
もしかして、亜紀も池永さんのことを?

動揺して心臓がヘンな音を立てた。亜紀には池永さんのことは話せない。

せっかく出来た友達なのに、こんなことでギクシャクするのはイヤだから。


お昼休みにアパートの管理会社に連絡を取って、鍵の付け替えを依頼した。

予定外の出費だけど仕方が無い。目を付けていたバッグはバーゲンまで我慢することにしよう。
その頃には、もう手に入らないかもしれないけど。
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