いつか晴れた日に
「どうしたのよ?」
小会議室に入ってきたわたしを見るなり、先にお弁当を広げていた亜紀が声を上げた。
「……うん。部屋の鍵を付け替えることにしたら、予想通りまあまあの金額で。それで、来週あたりに買いに行こうと思っていたバッグを断念したところ」
ああ、と亜紀は短い相槌を打った。
「そっか、仕方ないよね。やっぱり鍵変えないと夜もゆっくり眠れないし。じゃ、落ち込んでいる怜奈にウィンナーあげる」
「ありがと」
わたしのお弁当の蓋に、それをひょいと乗せる亜紀は、実家暮らし。
こんな時、実家暮らしを羨ましく思う。だって、多少の食費を家に入れたとしても、家賃と光熱費はタダなワケで。
それだけでも、自由になるお金は随分と違ってくるのだ。
「で、あれから、例のストーカーは?」
「今のところ、何もない。かな?」
悪戯電話もないし、ヘンな手紙が届くこともない。あれきり、姿を見せないストーカー。
とは言っても、油断は出来ない。
わたしの名前どころか、昔のそれもとってもコアな部分を知っているあの男。
ということは、わたしのことをかなり調べ上げたはず。
どこでどんな接点があったのか、さっぱり記憶にないけれど。
いつまたフラリと現れるか、気が気じゃない。
と、思っていたら……