いつか晴れた日に
「怜奈ちゃん、ご飯食べた?」
「まだ、だけど」
うっかり答えると
「良かった。じゃ、俺が作るから一緒に食べよう」
そう言って、ニッコリ笑うとわたしの手を掴んで部屋に向かって歩いていく。
「ちょっと、待って」
誰も一緒に食べるなんて言ってないし、なんでそうなるの?
ひょろっとしているくせに、そこは男、やっぱり力では敵わない。
このまま部屋で二人きりになったりしたら、マズイよね?
「待っててば!」
「怜奈ちゃん、何が食べたい?」
部屋の前に着いて、男がドアノブを掴むと、鍵がかかっているはずのそれが、音も無くスッと開いた。
「……ど、どうして?」
驚いて男を仰ぎ見ると、澄み切った瞳を細めて「俺、魔法が使えるんだ」と嬉しそうに笑う。
そんなバカな。
きっと、わたしが帰ってくる前に鍵を開けていたに違いない。