いつか晴れた日に
「やっぱり、覚えてないんだ。だったら、俺怜奈ちゃんが思い出してくれるまで待つよ」
涼はいつものように、にこりと笑うけれど。
「だから、ダメだって」
何度言えば、わかってくれるの?
「これ以上、ここに居座るのなら、警察に通報するしかないけど、それでもいいの?わたしだって、そんなことはしたくない。だから、夕飯食べたら出て行って。そして、二度とここには来ないで」
涼の瞳を見詰めて、はっきりと言い切った。
それなのに……
目を逸らしたのは、わたしの方だった。
手元にあったウーロン茶で喉を潤して、そのまま俯いた。
涼の瞳を見ていると、なんだか悲しくなってしまう。どうして、こんな気持ちになるのだろう。
涼はストーカーなのに。
わたしに危害を加える、危険人物かもしれないのに。
「怜奈ちゃん、俺、時間が無いって言ったよね?」
「……うん」
「あと一週間、ここに居たい。そうしたら、二度と現れないから」
「ダメだよ」