いつか晴れた日に

今、わたしのことを怜奈ちゃんと言ったよね?

「どうして、わたしの名前を知ってるの?」

すると、この男はきょとんした表情のまま「怜奈ちゃんのことは、何でも知ってるよ。
安西怜奈(あんざい・れな)22才 派遣社員 身長163cm、体重は××。
それから、好きな食べ物は……」

「止めてっ!それ以上言わなくていいから」

この男、完璧なストーカーじゃない。
ヘラヘラしていて、そんなに緊張感は無いけれど、やっぱり危険かもしれない。

この場合、警察に通報するべきなんだろうけど、下手に刺激して逆ギレされても困る。

どうすればいい?
二日酔いで痛む頭で考えた。

………………。
………………。

……なにも思いつかない。

「怜奈ちゃん、大丈夫?」

お前が言うなっ!!と心の中で思い切り叫ぶと、また気持ち悪くなったきた。

くそう。早く横になりたい。
その一心で「あのね、お願いだから帰って欲しいの」と不本意ながらも下手に出る。

「どうして?」

「どうしてって……」
そんなの、迷惑だからに決まってるじゃない。

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