いつか晴れた日に
そんな顔をしないでよ。涼が悪いんだから。

「怜奈ちゃん」

「こんなことをするんだったら、今すぐ出て行って!」

涼を突き飛ばすようにして起き上がると、手を伸ばして掴んだクッションを投げつけた。
わたしは混乱しているんだ。キスを拒まないなんて、本当どうかしている。

「ごめん、怒らないで」

「出てって」

これ以上、一緒にいちゃいけない。
そう思うのに……。


「俺をまた遠ざけるの?」

涼のその言葉で、わたしは何も言えなくなってしまった。

「あの時、すごく悲しかったよ。怜奈ちゃんも俺のことを捨てるんだと思うと、本当に辛かった」

「……っ、それは違うよ。わたしだって一緒に居たかった。だけど、引っ越さなくちゃいけなくて、涼を連れて行くことが出来なかったの」


「だったら、今一緒に居てよ?」

「それは……」

「怜奈ちゃんがイヤなら、さっきみたいなことは二度としないから」

「……」

気持ちがぐらぐらと揺れる。
目の前で縋るようにわたしを見詰める涼を見ていると、どうしていいのかわからなくなる。

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