いつか晴れた日に
ダメだよね、うん。絶対ダメだよ。
そう思いつつも、涼に作ってもらったお弁当を受け取って、一緒に家を出る。
「……涼は、どこに行くの?」
並んで歩きながら、わたしよりも背が高い涼を見上げる。
小さな紙袋を持った涼は少し考えるように瞬きをして、それから「図書館に」と言った。
「どうして、図書館?」
「ん。怜奈ちゃんが仕事に行っている間ヒマだから、色々と勉強をしようかなと思って」
「ふうん。そうなんだ」
「俺のこと、気になる?」
「ならない」
即答すると、涼は苦笑いを浮かべて「レシピもそこで調べてるんだ」と言った。
地下鉄の駅まで一緒に歩く。
交差点を渡ったところで、涼は「じゃ、怜奈ちゃん、いってらっしゃい」と手を振って、わたしとは逆の方向に歩いていった。
図書館に行くなら、地下鉄の方が早いのに……って、まだ開館してないよね?
ふと、気になって立ち止まり振り返った。
本当は、どこに行くつもりなの?
涼の身体は、今にも光に溶けてしまいそうにゆらゆらと揺れている。
色彩が淡く滲んでいく。
……涼が消えてしまう?
ちょっと、待って。勝手に居なくならないでよ。
「涼!」
気が付けば、名前を叫んでいた。
そう思いつつも、涼に作ってもらったお弁当を受け取って、一緒に家を出る。
「……涼は、どこに行くの?」
並んで歩きながら、わたしよりも背が高い涼を見上げる。
小さな紙袋を持った涼は少し考えるように瞬きをして、それから「図書館に」と言った。
「どうして、図書館?」
「ん。怜奈ちゃんが仕事に行っている間ヒマだから、色々と勉強をしようかなと思って」
「ふうん。そうなんだ」
「俺のこと、気になる?」
「ならない」
即答すると、涼は苦笑いを浮かべて「レシピもそこで調べてるんだ」と言った。
地下鉄の駅まで一緒に歩く。
交差点を渡ったところで、涼は「じゃ、怜奈ちゃん、いってらっしゃい」と手を振って、わたしとは逆の方向に歩いていった。
図書館に行くなら、地下鉄の方が早いのに……って、まだ開館してないよね?
ふと、気になって立ち止まり振り返った。
本当は、どこに行くつもりなの?
涼の身体は、今にも光に溶けてしまいそうにゆらゆらと揺れている。
色彩が淡く滲んでいく。
……涼が消えてしまう?
ちょっと、待って。勝手に居なくならないでよ。
「涼!」
気が付けば、名前を叫んでいた。