いつか晴れた日に
美香さんは、まだ言い足りないような表情をしていたけれど、わたし達の部署の電話が鳴り始めて、そこで漸く「もう、いいわ」と解放されたのだった。


「おかえり、怜奈ちゃん」

「ただいま」

疲れ果てて家に戻ると、涼は今日も料理を作って、わたしの帰りを待っていた。


「あれ、どうしたの?元気が無いみたいだけど」

「仕事が忙しくて疲れただけ」

「疲れた時には、甘いものが食べたくならない?」

「そうだね」

靴を脱いで、涼の横を通り過ぎる。涼の視線が纏わりつくように追いすがってきたけれど、気が付かないフリをした。

部屋着に着替えて、ベッドにダイブする。
ああ、もう。疲れたし、なんだかイライラする。

「怜奈ちゃん、ご飯にしよう?」

「うーん」

「今日はね、怜奈ちゃんの大好物の鶏のから揚げだよ。それからね、プリンも作ったんだ」

プリン?涼って、スイーツも作れるの?
のっそりと身体を起して、キッチンを覗き込むと、わたしがそうすることがわかっていたかのように、微笑んでいる涼と目が合った。

「プリンも後で食べようね」

「う、うん」

「じゃ、ご飯にしよう」


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