いつか晴れた日に
身支度を整えて、今日もお弁当を受け取り涼と一緒に家を出る。
二人で部屋から出て行くところをご近所さんに見られたくないなと思いつつ、嬉しそうに隣を歩く涼を見ていると、何も言えなくなってしまう。
「ねぇ……」
「うん、なに?」
「床で寝ていて、背中痛くない?」
「痛いけど、大丈夫だよ。慣れてるし」
……慣れてるか。そっか、そうだよね。
うーん。
「どうかした?」
「ううん。ベッド、二人で寝るには狭いもんね」
ポツリと呟くと、次の瞬間、待ってましたとばかりに、涼がわたしに飛びついた。
「俺、狭くてもいい」
ギュッと抱きついて、わたしに頬ずりをする涼。
「ちょっと、涼!!」
慌てて、纏わりつく涼の腕を振り払う。
「もおっ、外ではくっ付かないでよ」
「わかった。家ならいいんだね?」
だから、そうじゃなくて。と言い掛けて口を噤む。
もう、何を言っても無駄みたい。それぐらい、涼は嬉しそうにはしゃいでいたから。