いつか晴れた日に
今朝の一言は、失言だった。
参ったなぁ。あんなこと、言うんじゃなかった。

きっと、涼のことだから、当然のごとくわたしのベッドに潜り込んでくるに違いない。
壁際に詰めれば、二人で寝れない事は無いと思うけど……

いやいや、一緒に寝るなんて無理。わたしったら、何を考えているんだか。
パソコンの前で頭を振って、余計な思考を追い出した。

と。
わたしのデスクの内線が鳴った。

「はい。安西です」

『頭振って、何してたの?』

「えっ?」

顔を上げて、営業部へ視線を向けると、ニッコリと微笑む池永さんと目があった。

「あっ、えっと、」

『あたふたしない』

「……はい」

そう言われ、思わず俯いて小さな声で返事をする。
仕事中なのに、なんだかいけないことをしているみたい。


『あのさ、今日時間ある?』

「えっと、今入力しているデータがあと30分ぐらいで終わるので、その後だったら大丈夫です」

受話器からクスクスと笑い声が聞こえる。

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