いつか晴れた日に
顔を真っ赤にして激昂する亜紀をただ見詰め返すことしか出来なかった。

池永さんは、結婚するんだよ?
その日が来るまで、亜紀には知らせない方がいいの?

もう、どうしたらいいのかわからないよ。


「わたしは、亜紀が心配で」

「止めて!」

怒りをあらわにした亜紀の身体が小刻みに震え出した。


「……怜奈の所為で」

そこまで言うと、亜紀は持っていたバッグを振り上げた。

バンッ!!
頭に振り下ろされた衝撃で身体が壁にぶつかる。

頭がフラフラして、一瞬何が起こったのかわからなかった。


「亜紀?」

壁に凭れたまま、亜紀を見上げる。亜紀は、唇を噛んで涙を流していた。
そんなに、池永さんが好きなの?

「…………」

「怜奈の所為で、池永さんが冷たくなったんだから。少しでも悪いと思うなら、仕事を辞めてわたしの前から消えてよ!」

バシッ!
もう一度、頭にバッグが振り下ろされる。

「あんたなんか、大嫌い」

口の中が切れたのか、血の味が広がった。


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