いつか晴れた日に
二人きりの空間に緊張が走る。
まさか向こうから近付いてくるとは思っていなかったのだ。
一体どいうつもりなの。
池永さんの嘘の所為で亜紀とは修復不可能なぐらい拗れてしまったのに。
威嚇するように睨みつけると、池永さんはわたしをバカにするようにニヤリと笑った。
「亜紀とは別れたよ」
「……でも、嘘吐きましたよね」
「そうだっけ?」
「ひどいっ」
声を荒げると、池永さんは周りを気にする仕草を見せて、わたしに一歩近付いた。
それから、内緒話をするように顔を近づける。
「とにかく、約束は守ったんだからさ、あんまり変なことは言わないでね」
それだけ言うと、池永さんは踵を返して給湯室を出て行く。
「……っ」
言いたいことは山ほどあるのに、言葉に出来なかった。
どうしてわたしは、こんな最低な人に憧れていたんだろう。
それが悔しくて悲しくて仕方が無い。