いつか晴れた日に
週明けの月曜日

今日から数日の間、新人さんの指導をすることになっていた。
と言っても、専用端末の使い方と基本的な組織図を教えることしか出来ないと思うんだけど。

数日だったら、その程度でもいいのかな。
重要なことは美香さんが担当してくれるはずだ。

そんなことを考えながら出社すると、見覚えの無いスーツ姿の男の人がこちらに背を向けて、支店長と話し込んでいた。

もしかして、あの人がうちの課に新しく配属された人?
女性だとばかりに思っていたわたしは、少し驚いてしまった。


しばらくすると朝礼が始った。
社訓を合唱して、各課の連絡事項を確認、それから支店長が新人さんを紹介するために名前を呼んだ。


「今日から配属の黒崎くんから一言」

新人の彼が皆の前に立つ。
そのとき、初めて彼の顔を見た。

中肉中背のスタイルに黒い瞳。真っ黒な髪はサラサラで好青年……。

「黒崎涼です。これから、こちらでお世話になることになりました。至らない点もあると思いますが、宜しくお願い致します」


……クロサキリョウ?


「……ぁ!!」

悲鳴を上げそうになって、慌てて口を両手で押さえた。

間違いない。

涼が、わたしのところに戻ってきてくれたんだ。
驚きと嬉しさで涙が出そうになる。それを必死で堪えて、涼を見詰めていた。








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