世界が終わる瞬間
「アンタ、どこ見て……」
私がそう言いながら、
歩が向いている方向に、
同じように顔を向けた。
するとそこにあったのは、
ビルのスクリーン。
そのスクリーンには、
一人の人間が映っている。
その人は泣きながらこう言ったのだ。
『非常に残念なことなのですが……。
本日、地球は終わります……』
頭の中で流れている映像の中にいるのは、
紛れもない私自身。
しかし、その生活ぶりは、
今の私とは全く違う。
周りにいる人間がまず違う。
関わりのなさそうな人種だ。
歩って誰だ……。
私にそんな弟は……いない。
でも、この記憶は、
明らかに自分の記憶で……。
「そろそろ、思い出したかい?」