世界が終わる瞬間
終わりの時
「それは‥‥?」
私が、眉をひそめてそう言うと、
父さんが口を開いた。
「爆弾みたいなものさ。
もうこの世界は必要ないからな」
そんな‥‥‥。
要らなくなったから、壊すの‥‥‥?
「友梨香、心配しなくていいのよ?
確かに、今まで生活していた世界が
壊れることは恐ろしいことかもしれない。
だけど、あなたは、
また何度でもやり直すことができる」
そう言った母さんは、
美しい顔で微笑んだ。
「そういう問題じゃ‥‥‥」
私がそう言いかけた頃、
父さんが腕時計を見た。
「時間だ」