【アイノウタ】
……記憶がない。
でも……
「ママねぇ、ハルの夢見ちゃったよ。
なんでかうちにハルが居てさぁ……」
ん?おでこに生温い物が乗ってる。
起き上がると落ちてきたそれは濡れタオルだった。
「モモ!頭冷やしてくれたの!?
ありがとーう!」
ああ、いつの間にかこんな事に気が回るほどに成長したのね……と感動してると、
「モモじゃないよぉ ハルだよぉ」
「あはは……いや、だからそれはママが見た夢で……」
と言い終わる前に
「俺がどうかしたんですか?
それより大丈夫ですか!?
なんか、すごいビックリしたと思ったら、真っ赤な顔して倒れたんで……おでこも熱かったから勝手に寝室に運んじゃいましたけど」
寝室の入り口でギュッと絞ったタオルを手に立ってるハル……
ウソ……?
「ゆ、夢!?」
現実を認められないあたしに、ハルは
「やっぱ熱あるんじゃ……」
などと言いながら近寄って来て、あたしのおでこに触れた。
「ひゃっ!」