【アイノウタ】
「あ、そうだ! 夏希さんもハルって呼んで下さい!」
えっ
えーっ!?
そう来たかっ
そりゃ、普段はハルって呼んでたし、寧ろ『春海君』って呼ぶ方があたし的には難しかったけど……
でも……なんか本人目の前にすると変な緊張感が……
「いやぁ、でも……」
一応抵抗してみる。
「いいからいいから!
ちょっと呼んでみて、ほら!」
って簡単に言うけど『あのハルだ』って決定付けられる感じが妙に緊張を誘うんだよね……
「ん……じゃあ…… ハル君……」
「君要らない」
厳しいっ
「ハ……ル……?」
おおおっ
もうこりゃ『あのハル』決定じゃんっ!
「合格〜! なっちゃん良い感じー!」
なっ
「なっちゃんんんんん!?」
「うん、いいでしょ?」
いやいやいや
「ちょっ! もうすぐ30の子持ちのおばちゃん捕まえてなっちゃんてのはー$#¥☆〆!」
喋れてないしっ
しかも顔熱いしっ
「あはっ おばちゃんって!
なっちゃん黙ってたらお子さんいるとか30歳とか、全然分かんないですよー。
俺、知らなかったら声かけちゃうかも」