【アイノウタ】


冷蔵庫から350mlのビールを二本出して、一本をソファーに座ってるハルの目の前にそっと置き、あたしももう一つのソファーに腰を降ろしてビールを開けた。


ハルが一瞬パッと顔を上げて

「あ、すいません」

と言って又目はケータイへ。




へぇ〜……
こんな表情でメール打つんだ……

こうやって誰でもする日常的な事でも、ハルが目の前でしてるのが不思議……


「よしっ 送信っと。これで良かったかな?
……で、さっきからなんで黙って俺の顔見てんですか?」

ケータイから目をそらさずにハルが言う。



ヤバイ!!
ガン見してたわ今!


なんて言おうか考えてると、

「見とれてたぁ? なーんてねっ」

と顔を上げて、今度はハルがあたしの顔をジーッと見つめてる。


慌てて

「あたしそんなに見てたー?」

って誤魔化したけど聞いてない?


ん?と思ってると

「なっちゃん……スッピン……」




しまったぁ!!
さっきまでメイクで化けてたからギャップに驚いてんだ!


もーうっ
スッピン見られるなんてなんて失態を……!


「……スッピン……」

まだ言うかっ
分かったよ老けてんでしょっ!?

「可愛い……」

だからもう良いって……

「えっ!?」

今なんて……?


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