【アイノウタ】
Vol 2
とりあえず積み重ねてあった小さい方のダンボールを降ろそうと持ち上げ
「お……重っ これ衣類って書いてあるけど、どんだけ詰め込んだのー!?」
と彼の方を見た瞬間、今目の前で銀行強盗が銃を片手に強奪した金を抱え飛び出して来ても、今この瞬間ほど驚く事はないだろうほど驚いた。
帽子とサングラスを取った姿……
「あー、それ服以外の物も入ってるんで重いですよー!」
と言った彼の言葉など、あたしの耳には入って来ず……
あまりの驚きに力が抜けて、箱を持ったままヨロヨロとよろけて尻もちをついてしまい、箱の下敷きに……でもそんな事はどうでも良くて……
「うわあっ!大丈夫ですかっ!?」
彼の言葉は又も入って来ず。
「ママーっ!なんかすごい音が聞こえたよー!」
寝ていたはずのモモが駆け込んで来る。
あたしは訳が分からず
「あの、あのあのあのあの……っ」
あなたは……
訊きたい事は山ほどある。
でも上手く言葉にならない……
あたしが訊く前にモモが答えを出した。
「あーっ!! ハルだぁ!」