Change the voice
俺はと言えば、スーパースターからの突然の質問攻めにかなり動揺していた。

周りの友人たちも、三田の突然の行動に注視していたし、俺は完全にそのパフォーマンスに巻き込まれていたのだ。


「よし、俺も弁護士目指すことにしよう」


突然三田が晴れ晴れとした笑顔で言った。

女子からの黄色い声援が耳に刺さる。

彼女たちには天使の笑顔に見えたに違いない。

俺には悪魔の微笑みにしか見えないのだが……。


「三田、お前金と女に対する目的が透けて見えるぞ」


とぼそっと嫌みを口にしてみたが


「お前のそういう察しの良いところが嫌いじゃないよ」


と返された。



(――――嫌いじゃない)



それが実は三田の中で最高級の誉め言葉だと知ったのは数年後の話で。

とにかくそんな他愛もない会話をきっかけに、俺と三田は何かとつるむようになって、いつしか“C中の秀才コンビ”ともてはやされるようになっていた。

地元で一番の進学校に並んで入学した時は(嗚呼、このままこいつと弁護士になるのかもしれないな)と漠然と、かつ自然に思えるほどになっていた。
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