Change the voice
そんな思いとは裏腹に、過春効果でちょこちょこ役付の仕事が増えていった。

時にはアニメのラーメン屋の客、時にはBLCDの警官役――――いつしかマネージャーも交代していて、しきりにもっと大きなレギュラーを狙わないかと持ち掛けられた。


そんな折り、事務所から呼び出しを受けて、コンビニのバイトを早上がりで駆け付けると、俺に声優を勧めてくれた音響監督の林さんが来ていた。

世話をしている劇団に欠員が出て、急な代役を頼まれてくれないかとの話だった。

事務所としても林さんと仕事をする事が多かったので、特別に許可が下りて舞台劇に出演することになる。


それが男女逆転SFシンデレラストーリーで、真下さんに最初にチケットを買ってもらった舞台だった。


声優としての仕事が増えてきた矢先の舞台出演に、俺はますます舞台に戻るか否か、迷いを深めることとなったわけだが、その思いを断ち切ってくれたのが真下さんで、思えばその時から自分は真下さんに好意を寄せていたのかもしれない。
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