Change the voice
印象と真相
――――正直。
真下さんが、合コンの初っぱなで倒れたときは
(……したたかな女)
という、あまりいい印象は持たなかった。
三田のおかげで変に合コン慣れしていた所為で、酔ったフリをして狙いの男に取り入ろうとする女を多く見てきた経験からだった。
だから介抱役に"ハズレ"枠である俺があてがわれるのもいつものことで、現に俺が介抱役と知るや否や、ほとんどの女は背筋を伸ばして俺の見送りを断り、ハキハキした口調で自らタクシーを呼び止めていた。
ごくごく希に俳優志望の俺の立場を面白がって絡んでくる女もいたが、極貧生活をちらつかせると手のひらを返したように退散していった。
自分としては自分一人が生きていくだけで精一杯だったし、タダ飯にありつくことこそが合コンに参加する目的だったので、却ってその方がありがたかった訳だが。
だから真下さんに肩を貸して店の外に出た時も、
(おいおい、倒れるタイミングが早すぎはしないか?)
と内心悪態をついていたぐらいだ。
真下さんが、合コンの初っぱなで倒れたときは
(……したたかな女)
という、あまりいい印象は持たなかった。
三田のおかげで変に合コン慣れしていた所為で、酔ったフリをして狙いの男に取り入ろうとする女を多く見てきた経験からだった。
だから介抱役に"ハズレ"枠である俺があてがわれるのもいつものことで、現に俺が介抱役と知るや否や、ほとんどの女は背筋を伸ばして俺の見送りを断り、ハキハキした口調で自らタクシーを呼び止めていた。
ごくごく希に俳優志望の俺の立場を面白がって絡んでくる女もいたが、極貧生活をちらつかせると手のひらを返したように退散していった。
自分としては自分一人が生きていくだけで精一杯だったし、タダ飯にありつくことこそが合コンに参加する目的だったので、却ってその方がありがたかった訳だが。
だから真下さんに肩を貸して店の外に出た時も、
(おいおい、倒れるタイミングが早すぎはしないか?)
と内心悪態をついていたぐらいだ。