Change the voice
だから真下さんが俺の連絡先を知りたいと言ってきた時はちょっと意表を突かれた。

見た目と違って意外と乙女なのか?と。


今となっては失礼な話だけれど、本当のことだから仕方がない。

変な勘違いで好意を持たれても困ると思った俺は、チケットを買えだとか、夜勤明けの姿で現れるとか、敢えて女子が引く行動をした。

それでもどうしてか真下さんは引かなかった。

いや、少しは引いていたのに受け入れようという覚悟が見えて、俺は逆に気圧されてしまったのだ。


買ったチケットで、本当に舞台を観に来てくれて、くったくなく笑う彼女を見て、俺は自分を恥じた。

だからこそ、改めて「これからの出演も教えて欲しい」と乞われた時、何となく彼女をがっかりさせたくないと思ってしまったのだ。
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