1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
5.家族
依頼主
一旦、家に帰宅した私と神野くんは18時に最寄駅に集まり、そこから帰宅途中のサラリーマンたちに混じり電車に乗り込みました。
全身黒で統一している私と、神野くんも顔を隠すためのフードつきのパーカーを羽織っていました。
「なぁ、あの依頼主に会うんだよな」
「はい」
「…お前の母親なのか」
「分かりません。夫の子どもという言い方も気になります。ですが、少なくとも母親ではありませんよ」
「は?」
「私の母親は桃さん1人だけです。だから、仮に私を生んだ人だとしても、その人は親ではありませんから」
「…そうだな」
神野くんは笑うと、目的地の駅に着いたのをみて、人ごみにもまれている私を引っ張り出してくれました。
ふぅ、帰宅ラッシュもすごいですね。
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