1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「そろそろ帰ろうぜ」
「あ、神野くん!」
歩き出そうとした神野くんを慌てて呼び止めるけど、どうして呼び止めてしまったのか分かりませんでした。
「晴野?」
「…あ、ありがとうございます。大事にします」
「…ん。どうしたしまして。ほら、行くぞ」
差し出してくれた手に自分の手を重ねると力強く握り返された手。
この雰囲気のせいなのか、神野くんの後ろ姿はいつもより強くて男の子に見えました。