1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「ッやめて!!」
「ッこら、キミ!離れなさい!!」
手錠を掴む警察官に体当たりして、その腕にしがみ付く。
嫌だ、お父さんが捕まるなんて、そんなの、絶対に嫌だ!!
「蓬!」
「ッ…お父さん…」
「いいから、その人から離れなさい」
「…違う、お父さんは何にも悪いことしてない!なのに、なんで捕まらなきゃいけないの?なんで?警察は悪い人を捕まえるんでしょ!?なのに、なんで!!」
「蓬!!」
強い声で名前を呼ばれた。
振り返るつもりなんてなかったのに。
体が思いより先に動いて私は振り返ってしまった。