1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「あ、おはよう」
「ッ!?」
目が覚めた途端、目の前にはあの人がいて、当然のようにベッドの隅にいた。
ニコニコと微笑んでいるこの人は一体、何を考えているんでしょうか。
「随分深く眠っていたみたいだから起きるのを待っていたんだ。あぁでも、先に何か食べなきゃだね。おかゆがあるよ」
「いりません」
「だめ。食べさせるのも僕の仕事のうち。食べないから口移ししよっか」
「ッ!!?いや!食べるから、だからやめてください…」
「そう、残念。じゃあはい」
起き上がり、渡されたおかゆを受け取りましたが、食欲は全くありません。
だって、食べればまた始まるんでしょう?
そのためだけに食べなきゃいけないなんて嫌だ…。