1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 どうしよう。これ中入っていいんだろうか…。

 そう思っていると、すぐに清牙さんが飛んできて、眠り込んでいる晴野を見ると、さっと顔色を変える。

「秋空くん、とにかく中に」

「すみません。お邪魔します」

 すぐに晴野を抱きかかえると、清牙さんはリビングに入って行く。
 その後をだいぶ遅れてついて行くと、晴野はソファに寝かされていて、桃さんが怪我のない様子にほっと息を吐いているところだった。

「何があったんだい?」

「…晴野を探している人がいます」

 それだけで、何かを察したのか、清牙さんのまとう雰囲気が張り詰めたものになる。
 桃さんも、肩を揺らし、動揺していた。
< 13 / 411 >

この作品をシェア

pagetop