1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「雷斗、お前の家にいたってどういうことだ」
「…分かりません。でも、今までなかったはずの鍵付きの部屋があって、入ってみたらよもちゃんが男に襲われてて…。無理矢理連れだしました」
「襲われてたって…そんな」
「酷い」
輝星さんと凪さんが表情を歪めてよもちゃんを見下ろした。朔夜さんたちも何も言わないけど、怒りを押しこめるように拳を握りしめている。
「っくそ、もっと早く見つけてやれれば…」
「でも、襲われたのがその日だけとは限りません。病院に連れて行くべきでしょう」
「そうだな。斎王さんのところに行くぞ」
渉さんの言葉に朔夜さんはすぐに承諾すると、再びよもちゃんを抱きかかえようとしてやめた。