1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「…渉、車出せる奴に出来るだけ声かけろ」

「え?」

「無理矢理連れだしたんだろ。連れ戻しに来るかもしれねぇ」

 そうだ。無理矢理撒いたけど、追ってきてる可能性の方が高い。
 それに、俺が嵐鬼にいることをあいつらは知ってる。

 渉さんがすぐに携帯で招集をかける。輝星さんがよもちゃんの頭を撫でているけど、よもちゃんの表情は浮かない色のままだった。

 それから20分くらい経って用意された車は10台。

 そのうちの最も目立たない車によもちゃんを乗せて、俺と輝星さんが同乗する。
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