1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「俺たちで引きつける」
「よものことは任せて」
「あぁ」
朔夜さんの手でドアは閉まり、助手席に乗り込んだ俺に視線だけで頼むと伝えてきてくれた。
もちろん朔夜さんに言われなくてもいざとなれば戦える自信はある。
でも、よもちゃんを任せてくれたことが素直に嬉しかった。
朔夜さんがバイクにまたがって、俺のバイクにも俺と同じような背格好の奴とフードを被った小柄な奴が乗る。その他にも車やバイクが一斉にエンジンをふかす。
朔夜さんが1番にたまり場を飛び出していくと、次々に出て行くバイクと車。
すると、その車の群れを追いかけるように何台かの車が猛スピードで過ぎていく。
「行って」
輝星さんの合図でこっそりとたまり場から出ると、待ち伏せの車も何もなかった。
朔夜さんたちが進んだ方向と逆に車は進む。
「…雷斗」
「はい?」
「あんたの親ってどんな人なの?」
輝星さんの突然の質問に思わず言葉が出なくなる。