1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「秋空くんに連絡してやれよ。よものこと探し回ってたんだ」

「…はい」

「ならよし。…よも、無茶すんなよ」

「はい!」

 まるでこれから先のことを分かっているように剣人さんは苦笑を浮かべました。

 最後にもう一度剣人さんに抱きしめてもらって、病院を後にしました。

「よもちゃん、入院しなくてよかったの?」

「大丈夫ですよ。薬ももらったので。それに、お母さんに会いたいんです」

「…よも、うちにも泊まりにおいでね。朔夜たちにも伝えとくから」

「ありがとうございます。あ、焔さんには内緒で…」

「あ、そうね。焔には黙っとくわ」

 焔さんはちょっと変態さんなので遠慮願いたいです。

 輝星さんは豪快に笑ってくれましたが、雷斗くんは少し苦笑していました。
< 152 / 411 >

この作品をシェア

pagetop