1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「え?」

 目の前を見て思わず固まってしまいました。だって、今考えていた人がそこにいる。
 会いたくて、心の中でずっと呼んでいた人がそこに…。

「晴野?」

「…ッ神野くん!」

 雷斗くんのいる公園の入り口。

 ちょうどそこにさっきまでいなかったはずの神野くんがいて…。

 思わず飛びついてしまいました。
 それでも、しっかりと受け止めてくれた神野くんは、そっと抱きしめてくれました。

 さっき剣人さんのところで泣いたばかりなのに、また泣き出してしまって、神野くんは何も言わずに頭を撫でてくれて慰めてくれました。

「晴野、お前今までどこに…」

「俺の家。よもちゃんの父親が俺の母親の再婚相手だったんだよ」

「は?」

 神野くんはびっくりしたように目を丸くしています。
 当たり前ですよね。私だってびっくりです。
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