1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「雷斗くんが助けてくれたんです」

「そうだったのか…。晴野、見つけてやれなくてごめんな」

「いいんです。雷斗くんが助けてくれましたし、私も無事ですから」

「何が無事なのか教えてくれる?よもちゃん。全然無事じゃないよね」

 雷斗くんから呆れたような視線をいただきました。

 正確に言えば無事ではないんですよね。全く…。
 でも、一生あの中で過ごすと思っていた私にとっては、無事なんです。

「で、よもちゃんいつまで神野なんかに抱きついてるの?」

「う…」

 雷斗くんに言われる通り、抱きついたままです。
 でも、なんだか離れたくない気分なんです…。

「神野くん、ダメですか?」

「ッ…別にいいよ」

「ありがとうございます」

「ッチ…」

 舌打ちがお隣から聞こえたような気もしましたが、神野くんの許可をいただいたので遠慮なく…。

 やっぱり神野くんはあったかいです。
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