1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「よも、ごめんね。1人にしてごめんね」
「ううん。お母さんのせいじゃないよ」
「でも、ごめん。あなたの手を掴んでやれなくて、ごめんね」
お母さんは何も悪くないです。お父さんも…。
お母さんは剣人さんよりも詳しくお父さんのことも教えてくれました。
お父さんが刑務所で拘留されていること、弁護士を引き受けてくれたのが颯人さんの知り合いであること、裁判で有利になる情報がことごとく消されてしまっていること…。
1か月足らずで話はどんどん進んでいました。
「よも、明日清牙に会っておいで」
「え?」
「私は入院だから。だから、代わりに咲が生まれたことを伝えて」
「…お母さん」
「よも携帯持ってるわね。剣人からあらかた聞いてる。遠慮しないでいいからみんなに頼りなさい。みんな、助けてくれるわ」
お母さんの言うみんなというのが、剣人さんや俊也さんたちだけではなく、嵐鬼のみんなと私が情報屋として繋がって来た人たちのことを言っているんだって、すぐに分かりました。