1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「秋空くん、よものそばにいてくれてありがとな」
「いえ、俺はなにもしてません。今回だって、晴野がこんなんになるまで傷ついてたなんて気づけませんでした」
「でも、よもはキミの前で泣いた。よもはね、俺たちの前以外ではほとんど泣いたりしないんだよ。それだけ、秋空くんに気を許しているんだと思うよ」
清牙さんの言葉に、思わず顔が赤くなったのを自覚して、顔を隠す。
おいおい、何で赤くなんだよこんなのバレちまうだはろうが!!
思いとは裏腹、表情は素直らしい。熱くなった頬から熱が引かない。
「隠さなくてもいいんだぞ、秋空くん」
「確信犯ですか」
「まぁ、確認かな」
ニヤリと笑った清牙さんの表情に、この先一生敵わないと思い知った。
桃さんものんきに笑って、晴野の頭を撫でている。