1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
多分、さっき晴野が今から行くと言ったのはおひさまの家だ。
何の連絡もなしに2か月くらい行っていないはず。
だから、行動を起こす前に、謝りに行くんだと思う。
晴野とだけなら問題なかった。
でも、大宮がいる。
大宮は俺が孤児であることを知らない。
晴野が情報屋であることを大宮に明かせないように、俺も大宮に孤児であることを知られたくない。
どうすれば…。
「おい、呆けるな」
「ッ!?お、おぅ」
「え、じょ…情報屋!!?」
肩をつんつんと突かれて飛び上がると、目の前に晴野…じゃなくて、ハルがいた。
目元は見えないが、完全に呆れ顔だと思う。
隣に居る大宮は予想通りというかなんというか、大口を開けて固まった。
晴野の言葉を借りて言うなら、イケメンさんが台無しと言ったところだな。
ハルはため息をつくと、背を向けて歩き出す。