1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「おい、こら待て!」
「え?よもちゃんの知り合いって情報屋なの!!?」
晴野は情報屋になると少し…いや、大分冷たくなる。
でも、それは晴野が人を寄せ付けないために作った殻だから。
晴野自身は変わっても、弱さの象徴であるハルは冷たいままだ。
「うるさい。騒ぐならついてくんな」
「え、ごめんなさい…」
それと、男言葉のようになる。
声も低くなるから晴野と気づくのはほんとにフードを取らなければわからないと思う。
大宮は少し表情を引きつらせて、黙ってハルの後に続く。
「…アキ、行く場所分かってるの?」
「え?あぁ」
「…外で見張りしとくか?」
視線は前に向けたまま。でも、気遣ってくれたのが分かる。
…今日は、甘えようと思う。
正直施設長にどんな顔をして会えばいいか分からない。
全部解決したら、そん時に胸張って、ハルと一緒に会いに行ってもいいかもしれない。
「わりぃ」
「別に。…おい、お前も外で待ってろ」
「お…おう」
大宮は完全にビビってるな。
でも、晴野緊張してるのか?いつもよりとげとげしい気がする…。
すぐについたそこは何も変わっていなくて、中庭からから見えない位置で足を止める。
「…すぐに戻る」
ハルはそれだけ言って、敷地の中に入って行った。