1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「よかったね、よも。これで将来も安心よ?」
「そうだな」
またものすごくさらりとプレッシャーをかけれたような…。
でも、晴野のこと本当に愛してるんだってその表情から分かる。
この人たちは、晴野を育ててきた親なんだ。
「さてと、秋空くん、送っていくよ」
「今日はいいです。晴野のそばにいてやってください。明日、迎えに来るって言っといてもらえませんか?」
「…わかった。気を付けて帰るんだよ」
「はい」
最後にちらっと晴野を見ると、なぜか目があって…。
あれ、起きてる…。
「晴野?」
「…神野くん?…私、どうして」
「よも、秋空くんが連れ帰ってくれたんだよ」
「…ッ」
さっきのことを思い出したのか、晴野の表情が凍りつく。
桃さんが肩に触れる前に自分から抱きついた晴野は、幼い子どものように桃さんにしがみついていた。桃さんはそんな晴野を抱き締め返し、大丈夫と言っていた。