1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
フェンスにもたれて帰りを待つ。
「…なぁ、ここって…」
「孤児院だよ」
「なんで情報屋はここに」
「情報屋は、報酬のすべてを福祉施設に寄付してんだ。で、あいつの1番がここ」
「そんなことを…」
大宮は印象が変わったのか、少し表情に余裕が戻る。
でも、おひさまの家を見つめる目はかわいそうだという様な視線で、その視線を避けるように下を向いた。
親がいないからって、それが不幸だと思わないでほしい。
晴野も、俺も本当の親の愛を知らない。
でも、それを埋めてくれた大切な人がいる。
その人たちがいれば、充分だって思えるくらい、幸せだから。
ハルが戻って来るまでの間、俺はずっとうつむいていることしか出来なかった。
秋空side END