1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
後で考えれば、施設長さんは私の正体をもしかしたら知っていたのかもしれない。
早々にその場を後にした私を施設長さんは見送ってくれました。敷地から出ると神野くんたちも気付いてフェンスから離れました。
「もういいのか」
「あぁ、というより今日はここでやめだ。明日から本格的に動く」
「情報屋、あのさ…」
「ハルって呼べ。呼びにくいだろ」
「え、あ…うん。ハル…さん」
「さんなんかつけんな。アキ、こいつの連絡は任せるから」
雷斗くんがしょぼんとしているような…。
ごめんなさい。加減できなくて…。
神野くんは苦笑いして頷いてくれました。
「明日、13時にあの公園に来い。遅れたら置いてく」
「分かった」
「了解です…」
神野くんは普通ですが、雷斗くんは完全に傷ついています…。
あう、ごめんなさい。
これ以上一緒にいると更に傷つけてしまいそうなので、早々に立ち去りました。