1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「あらま、どうちたの?」
最早七変化と言わんばかりです。
急に恰好を崩したおばあちゃんは咲ちゃんを抱き上げてあやしはじめました。
智希と望亜も気になってはいるようですが、私の傍を離れようとしません。
おばあちゃんはよしよしと言いながら咲ちゃんをあやし続けます。
「ふぎゃあ!ふぎゃあ!」
でも、さっきから泣き止むどころかヒートアップしています。
呆れたおじいちゃんがバトンタッチしますがさらにヒートアップです。
お腹すいたんですかね…。お母さんはどこに…。
「あぁ!おい、泣き止ませろ!!」
視線を前に向けるとおじいちゃんがいて、反射的に咲ちゃんを受け取ってしまいました。
孫なのに、なんて短気なおじいちゃん…。
「ふえ?」
「あれ?」
不意に泣き声が止みましたよ。
目をぱちくりさせている咲ちゃんはもぞもぞしていますが、泣く様子は全くなく、むしろ落ち着いています。
「ねーね、しゃがんで?」
智希に服を引っ張られてしゃがむと智希と望亜が咲ちゃんの頭を撫でたり指を握られたりしています。