1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「あら、きれいな顔ね。本当桃と清牙君にそっくり」

 そんな言葉と共に奪い取るようにおばあちゃんが咲ちゃんを攫って行きました。

 でも…。

「っん…っ…ふぎゃあ!!ふぎゃあ!!」

 また速攻で泣きはじめました。

 咲ちゃん…?

「ばぁば!さきちゃんねーねにかえして!!」

「え、あ…そうね」

 再び咲ちゃんが腕の中に…。
 すると面白いくらいピタリと泣き止んでまたもぞもぞしています。

 咲ちゃん…仕組んでます?

「ねーねのこと好きなんだよ!」

 智希、嬉しいけどそれをおばあちゃんに言いつけるみたいに言わないでください!!

 ほら、おばあちゃんの顔がまた般若になってますから!!

「…お前は何なんだい!!よそ者のくせに出しゃばってるんじゃないよ!!」

 急に怒鳴ったことで咲ちゃんだけでなく、智希も望亜もびっくりして抱きついてきました。

 咲ちゃんはまた泣き出してしまって、あやしても泣き止んでくれません。
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