1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「無視するんじゃない!!」

「ッ…」

「ねーね!?」

 痛い…けど、咲ちゃんを抱きしめていなきゃ。
 智希と望亜に心配かけちゃダメ。

 思いっきり頬をひっぱ叩かれましたが、もう慣れっこです。
 大体おばあちゃんに会うと1発いただくので…。

「ねーねいじめないで!」

「ばぁば、きりゃい!!」

 智希と望亜は私を庇うようにおばあちゃんに向き合って両手をいっぱいに広げて壁を作っています。

 そんな智希と望亜の姿におばあちゃんはますます私を睨みつけてきます。

「よそ者のお前が何でこんなに慕われてるんだい!!大体、お前がいなければ清牙くんが逮捕されることだってなかったんだよ!!」

 最後の言葉は心に突き刺さって、何も言えませんでした。

 そうだ。私がいなければお父さんが捕まることなんてなくて、おばあちゃんたちと仲が悪くなることだってなかった。

 私のせいで…。

 私さえいなければ…。
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