1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
4つ先の駅で降りて、てくてく歩いていきます。
約束の時間まであと30分なので余裕ですね。
「ハル、警察関係者って誰なんだ?」
「…元警視監の人」
「結構上の立場の人と繋がってんのな」
「…私を助けてくれた人だけどな」
これから会いに行く広西 hiroseさんはお父さんたちに私を託してくれた方です。
本当なら、児童福祉施設に行くはずだった私を、お父さんに預けてくれた人。だから、恩人です。
情報屋をするようになってからは、麻薬などを扱っている人がいれば警察に引き渡すこと。
その、約束をした人です。
1年くらいお会いしていませんが、元気でしょうか…。
住宅街や田んぼ道を歩き続けて20分くらいやっと着きました。
高い塀に囲まれた広い平屋のお宅。ここが広瀬さんのご自宅です。
「ひ…広い」
「粗相のないようにしろよ。特にそこ」
「ワカッテマス…」
雷斗くんガチガチです。暴走族という手前、警察に対しては警戒心むき出しですね…。
大丈夫でしょうか?
まぁ何とかなるとして、門の前にあるインターフォンを押します。