1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 ピンポーンというごく普通な音。

 そんな音に雷斗くんは背筋が伸びたようです。

『はい?』

「こんにちは。…情報屋ですが」

『あぁ、少々お待ちくださいね』

 雷斗くんの前で蓬ですとは言えませんでした…。

 と、すぐに大きな門の方ではなく、人1人が通れるドアのような小さな出入り口の方が開きました。

「いらっしゃい。待っていましたよ、よ…あら、お友達も一緒?」

 出てきてくれたのは奥さんのようです。奥さんは蓬ちゃんと呼びかけて慌てて言葉をつぐんでくれました。

 先に言っておけばよかったです…。

「ご無沙汰しています。そうですね、彼らは情報屋の仲間です」

「あらあら。さ、話しはこの辺にしてお入りなさい」

 奥さんは1人用の門を開けてくれて、中に入れてくれました。

 門の先には立派な日本庭園が広がっています。その先には平屋建ての大きな家があります。純日本家屋と言っても過言ではないですね。

 神野くんはとにかく雷斗くんもぽかんとした顔でお庭を見ていますね。

 雷斗くんの家は洋風とはいえ大きかったと思うのですが…。
< 210 / 411 >

この作品をシェア

pagetop