1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
少しため息をつくと、不意に息が詰まった。
誰かに監視されてる…。
つけられた?いいや、今までこんな気配なかった。
なら、情報屋であることはばれてない…。
「晴野?」
「…次、降ります」
「え?まだ1駅先だよ?」
「…2人とも最悪戦えます?」
神野くんと雷斗くんの表情が引き締まる。
さっと視線を巡らせると、明らかにこちらを凝視する2人組の黒いスーツの男。
気配ダダ漏れになってますね。おそらく、ターゲットだと確信したから気配が出たのでしょうね。
『まもなく××、××駅。出口は右側です…』
アナウンスが電車内に響く。
そそくさと降りる準備をする人たち。立ち上がる人もいる。