1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「2人とも、先に出てください。私はギリギリで出ます」
「…分かった」
「気を付けてね」
電車はホームに入る。そして、開いたドア。
降りていく人たちに紛れて神野くんと雷斗くんも降りる。
降りる人が終わると、今度は電車に乗り込んでくる人たち。
スーツの2人組は反対側のドア寄りにいる。
出発を告げる音。そして、アナウンスが流れ出す。
『ドアが閉まります。ご注意ください…』
ドアが閉まり始める。…今だ!
閉まりかけたドアに体を滑り込ませ、ギリギリに外に飛び出す。
でも、タイミングが遅すぎたのか、ドアはまた開いてしまう。
そして、慌てたように飛び降りてくるスーツ姿の2人組。